2025/07/02 13:20

ラ・ロマ農園はナリーニョ県東部のカウカ県との県境に位置する1.9Haほどの小さなコーヒー農園です。
生産者であるマリアさんは30年に渡ってコーヒーを生産しており、現在は娘のエステファニアと二人三脚で高品質なスペシャルティコーヒーの生産に目を向けています。
娘のエステファニアさんは現在27歳になりますが、こうして娘が大人になるまでコーヒー生産を続けて家計を支える事ができたのも、スペシャルティコーヒーを中心としたコーヒーのマーケットが生産者に目を向けてくれて良い方向に進んだからこそと語ります。

高品質なコーヒーを生産する事で、十分な対価を得る事ができるスペシャルティコーヒー。
マリアさんは、この高品質なコーヒー生産が私たち生産者の暮らしを持続可能なものとしてくれ、生活の質の向上と農園の近代化による品質の向上というシナジーを生み出してくれていると語ります。
一方で、高品質なコーヒーを生産するという事が、実際にどういう事なのか。試行錯誤の中でコーヒー生産の奥深さを知る事となったと語ります。
それこそ彼女自身は、当時も品質の良いコーヒーを作っていると感じていましたが、そのコーヒーは評価を得る事ができませんでした。
思い返せば当たり前かもしれませんが、当時は収穫後、一日でも早く販売できるように、収穫後の選別やミューシレージ除去のための発酵の時間、乾燥時間など、急ぐあまりに品質に対して十分な理解とケアができていませんでした。

そうした中で彼女はカッパーや農技師にアドバイスを請い、高品質なコーヒーの栽培、収穫、生産処理、乾燥といった全てのプロセスを見直しながら、毎シーズン品質をアップデートしてきました。
現在では、収穫期には15日置きに収穫を行い十分な熟度のチェリーのみを選別して収穫。そして、パルピング後のミューシレージを除去する発酵工程には26時間という十分な時間を掛け、2回の水洗工程を経て粘液質を完全に除去。
その後の乾燥時間は、現在15日を目途に天日乾燥とパラボリックパティオを併用し、豆に負荷がかからないように時間を掛けながら適正値へ乾燥させ、それまでの工程が無駄にならないように最大限のケアを心がけています。
こうして長い年月を掛けて収穫から乾燥までの各工程を見直し、今ではラ・ロマ農園のコーヒーは見違えるほどクリーンで華やかな風味を持つ事ができました。
マリアさんとエステファニアさん親子は、今もカッパーや農技師のアドバイスを道しるべにコーヒー生産技術を発展させて、暮らしの向上と品質の向上によるシナジーを生み出そうとしています。